インプラント

「インプラント治療に興味があるけど、もし失敗したらどうしよう」
「手術が怖い。痛みは本当に出ないの?」
「長年持つって聞くけど、本当に大丈夫?」
インプラント治療に興味はあるものの、たくさんの不安を抱えている患者さまも多いかと思います。
インプラント治療は外科手術を伴うため、身体的な不安や、もしものリスクに対する恐怖を感じるのは当然のことです。
私は歯科医師として20年近くインプラント治療に携わってきましたが、患者さまの不安を一つひとつ丁寧に伺い、解消することが最も重要であると考えています。
当院では、患者さまの不安を心から理解し、その不安や疑問を払しょくし、安心・信頼していただいたうえで治療を受けていただけるよう、体制を整えています。
なぜ、インプラントは失敗するのか?その具体的な原因について
インプラント治療の失敗は、決して「運が悪かった」だけで起こるわけではありません。
その多くは、明確な原因が潜んでいます。
当院は、患者さまに安心していただくため、インプラント治療にまつわるリスクとその原因を包み隠さずお伝えします。
当院のセカンドオピニオンでよくお伺いする失敗事例
ケース1:インプラントが骨にうまく定着せず、抜けてしまった

インプラントは、埋入後、顎の骨としっかり結合することで、天然の歯のように機能します。
しかし、手術前の診断で骨の量や質が不十分だったり、骨が薄い部位に無理にインプラントを埋入したりすると、骨との結合がうまくいかず、インプラントが抜け落ちてしまうことがあります。
また、インプラントを埋め込む際に、最適な位置からずれてしまうと、周囲の骨への負担が大きくなり、長期的な安定を損なう原因にもなります。
ケース2:何年か経ってから、インプラントの周りの骨が溶けてしまった

インプラント治療が成功したとしても、その後「インプラント周囲炎」という病気になるリスクがあります。
これは、インプラントを支える歯ぐきや骨が、口腔内の細菌によってによって炎症を起こし、最終的に骨が溶けてしまう病気です。
インプラント周囲炎は、主に日頃のセルフケア不足や定期的なメンテナンスを怠ったこと、喫煙や糖尿病といった全身的なリスク因子によって引き起こされます。
インプラントが入ったからといって、もう大丈夫と安心してしまうと、天然の歯以上に注意が必要です。
ケース3:審美的な問題

インプラント治療では、特に前歯のように「見えるところ」に入れる場合、審美的な問題が生じることがあります。
例えば、不自然な形の被せ物になってしまったり、歯肉のラインが不揃いで左右のバランスが悪く見えてしまうことがあります。
その原因の多くは、骨が不足している部位に無理にインプラントを入れてしまうことや、インプラントの埋入位置が適切でないことにあります。
こうした場合、最終的な見た目に不自然さが残り、患者さんが満足できない結果となることがあります。
そのため、前歯部のインプラントでは、単にインプラントを埋め込むだけでなく、必要に応じて骨造成を行い骨の厚みや高さを補うこと、さらに歯肉のボリュームを増やして自然なラインを再現することが重要です。
これらの配慮を行うことで、周囲の歯と調和した、美しく自然な仕上がりを目指すことができます。
インプラントを失う最大の原因「インプラント周囲炎」
インプラント周囲炎は、世界的にも大きなトピックスとなっており、多くの研究でその発症リスクが指摘されています。
天然の歯に歯周病がある状態でインプラント治療を行うと、その細菌がインプラント周囲にも影響を及ぼし、インプラント周囲炎が急速に進行する可能性があります。
インプラントを失うことの多くは、このインプラント周囲炎が原因です。
主な危険性とその原因
インプラント周囲炎を完全に防ぐ方法はありませんが、原因を理解し、適切に予防することでリスクを大幅に下げることが可能です。
セルフケア不足
患者さまの日頃のブラッシングが不十分だと、インプラントだけでなく天然歯も悪くなります。
インプラントを入れても、自分の歯が悪くなってしまっては本末転倒です。
糖尿病
糖尿病は歯周病やインプラント治療において、重要なリスク因子になります。
ご本人が気づいていない場合もあるため、インプラント治療を検討する際は、全身の健康状態にも目を向けることが大切です。
喫煙
喫煙は歯周病や全身の健康に悪影響を及ぼすことは明らかです。
インプラントの生存率にも影響するというデータもあります。
定期的なメンテナンスの欠如
メンテナンスに通わない方は、インプラント周囲炎のリスクが高まるという報告が多数あります。
インプラント周囲炎は自覚症状がないまま進行することが多いため、通院が途絶えると、初期の異変に気づくことができず、進行を許してしまう危険性があります。
不適切なインプラントの埋入位置
インプラントを入れる位置が悪いと、被せ物の形態に制約が出て、清掃がしにくくなり、インプラント周囲炎のリスクが高まります。
歯周病の既往
歯周病がある方は、インプラント周囲炎のリスクが格段に高まります。
歯周病菌が残った状態でインプラント治療を行うと、その細菌がインプラント周囲にも影響を及ぼし、周囲炎が急速に進行する危険性があります。
被せ物の形態
インプラントの被せ物の形態は、ブラッシングのしやすさやメンテナンス性に大きく関与します。
形態が悪いと、汚れが溜まりやすく、インプラント周囲炎を引き起こすリスクが高まります。
不適切なインプラントメーカーの選定
世の中には多くのインプラントメーカーがありますが、中には長期的なデータやエビデンスが不十分なものもあります。
信頼できるエビデンスやバックグラウンドがないインプラントシステムは、予期せぬトラブルにつながる可能性があります。
当院が行う、安心への対策
インプラント治療におけるリスクや不安を最大限に排除するために、当院では以下の対策を徹底しています。
1. インプラント治療の前に徹底する、歯周病の管理

インプラントを長持ちさせるには、ただ手術を行うだけでは不十分です。
当院では、インプラントを「入れる前」の歯周病治療こそが、成功の鍵であると考えています。
多くの歯科医院では、歯周病治療は表面的なクリーニングにとどまりがちです。
しかし、それではインプラント周囲炎のリスクは高まる一方です。歯周病菌が残った状態では、インプラントはいつか不安定な状態になってしまいます。
当院では、インプラント治療の前に、まずお口全体の環境を整えることを最優先します。
歯周病が進行している患者さまには、歯肉の奥深くの歯石を除去する専門的なクリーニングや、必要に応じて歯周外科手術を行います。
これは、インプラントを埋め込むための「土台作り」であり、お口全体を健康な状態に戻すための大切なステップです。
当院が目指すのは、単に失った歯を補うことではありません。
インプラントを何十年も使い続けていただくために、「治療前の徹底した歯周病管理」を徹底し、インプラントの長寿命化に貢献します。
2. 歯科用CTによる精密診断と安全な治療計画の立案

「神経を傷つけないか」
「本当に安全な手術なの?」
そんな不安は、CT撮影による精密な診断で解消できます。
当院では、インプラント治療の前に必ず歯科用CTを使用し、お口の中を3次元で立体的に診断します。
一般的なレントゲンでは判別できない、骨の量や質、顎の骨の中を通る神経や血管の位置、副鼻腔(上顎洞)の状態などを正確に把握することが可能です。
CT撮影により、解剖学的なリスクを回避し、インプラントを埋入する深さや角度、位置をコンマミリ単位でシミュレーションできます。
事前の綿密な計画こそが、安全で確実な手術の第一歩となります。
3. 身体への負担を最小限に抑える「低侵襲」な治療

インプラント手術と聞くと、身体への負担が大きいイメージを持たれるかもしれません。
しかし、当院では患者さまの負担を最小限に抑える「低侵襲」な治療を心がけています。
CTで作成した精密なシミュレーションに基づき、インプラントを埋入する位置や角度を正確に再現できる「サージカルガイド」という器具を使用します。
これにより、最小限の切開で手術を行うことができ、手術時間の短縮、術後の痛みや腫れの軽減、そして回復の早さにつながります。
フリーハンドでの手術では難しい、正確な位置への埋入を可能にする、当院のこだわりです。
4. 専門の麻酔科医による「静脈内鎮静法」で手術中の不安を解消

「手術が怖くて仕方ない」
「長い時間の手術に不安がある」
手術に対して強い不安や恐怖心がある方には、臨床歯科麻酔科医による「静脈内鎮静法」をおすすめしています。
点滴で鎮静薬を投与することで、まるでウトウトと眠っているような、リラックスした状態で手術を受けることができます。
痛みや恐怖を感じることがなく、気がついたら手術が終わっているため、精神的な負担を大きく軽減できます。
一度経験された患者さまの多くが「次回もぜひお願いしたい」とおっしゃるほど、安心感の高い治療法です。
5. 「骨がない」と諦めかけていた方へ。高度な骨造成手術に対応

「インプラントを入れたいけれど、骨が足りないから無理だ」
と他院で治療を断られてしまった方も、ご安心ください。
歯を失ってから時間が経つと、インプラントを支えるための骨が吸収されて少なくなってしまうことがあります。
しかし、当院ではGBR(骨造成)、ソケットリフト、サイナスリフトといった高度な骨造成手術に対応しています。
これらの技術を駆使することで、骨が不足している方でも、インプラント治療が可能になる場合があります。
骨造成は専門的な知識と技術を要する手術ですが、当院では今までに数多くの骨造成手術を行っており、幅広い知見と技術を有しております。
まずは一度ご相談ください。
6. インプラント周囲炎を徹底的に防ぐための多角的なアプローチ

インプラントを長く快適に使い続けるために最も重要なのが、インプラントを支える骨が溶けてしまう病気「インプラント周囲炎」を予防することです。
Derksらのシステマティックレビューでは、約21%のインプラントに周囲炎が発症したという報告もあります。
当院では、インプラント周囲炎のリスクを徹底的に低減するための対策を講じています。
セルフケア指導の徹底
インプラントが入った後も、日々の丁寧な歯磨きが欠かせません。
当院では、担当の歯科衛生士が患者さま一人ひとりに合ったブラッシング方法を指導し、セルフケアの習慣化をサポートします。
喫煙・糖尿病への対策
喫煙や糖尿病はインプラント周囲炎の重大なリスク因子です。
インプラント治療前には禁煙をおすすめしたり、必要に応じて内科での検査をご案内し、全身の健康状態にも配慮します。
定期的なメンテナンス
定期的なメンテナンスに通わない方は、インプラント周囲炎のリスクが高くなるという報告は多数あります。
当院でも、定期的に通院されている患者さまほど、再治療のリスクが低下しています。インプラントを守るための最も重要な約束です。
厳選されたインプラントメーカー
世の中には数多くのインプラントメーカーが存在しますが、当院では豊富なエビデンスと実績のあるストローマン社製インプラントを使用しています。
スウェーデンの大規模な無作為調査で、ストローマンインプラントが周囲炎に最もなりにくかったというデータもあります。
7. 機能と美しさを両立する、精度の高い被せ物(補綴物)

インプラントの被せ物の形態はブラッシングのしやすさやメインテナンス時に大きく関与し、形態が悪いとインプラント周囲炎を引き起こすことがあります。
そのため仮歯の段階で清掃性について十分に確認します。また担当の歯科技工士と綿密に打ち合わせをしています。
インプラント治療に精通している、また日頃から学びアップデートしている歯科技工士の存在なく、きれいな被せ物は入りません。
インプラントが抜けてしまったケースについて
残念ながら、すべてのインプラントが永遠に持つわけではありません。
正直に申し上げるとこれまで3本のインプラントが脱落しました。
1本目
下顎奥歯のインプラントが治療後1年ほどで脱落しました。
隣接歯の悪化もありましたが、無償で再度埋入し、現在10年以上問題なく経過しています。
患者さんのセルフケアがとても素晴らしい上に、定期的なメインテナンスに通われていることもインプラントが安定している一因です。
2本目
下顎奥歯のインプラントが5年目に急速悪化し脱落しました、インプラントに過度な力がかかったのかと推測しています。
3本目
インプラントを埋入し1か月経っても炎症が続いため早期に撤去しました。
原因がはっきりとわかりませんでしたが、3か月後に再度埋入し、その後は全く問題なく経過しています。
治療した全てのインプラントの経過を追えているわけではなく、他にもインプラントが抜けてしまったケースもあるかもしれません。
そのため長く来院が途絶えた患者さんのことを思い出すことがあります。
あのインプラントは今も問題ないか、とても心配になります。
何かのきっかけに久しぶりに来院されるととても嬉しく感じます。
もしこの文章をご覧になった方でしばらく来院されていない方がいれば、ぜひまたお越しください。
私たちの取り組みと責任

インプラント治療に携わって約20年。
海外の文献や国内外の学会・研修会を通じて常に最新の知識・技術を取り入れています。
私は完璧な人間ではありませんが、治療に妥協はありません。
信頼して任せてくださる患者さんに応えるため、日々学び、努力し続けることが大切と考えています。
当院で行ったインプラントの治療例
インプラントの治療費
インプラン治療の費用は、歯の状態によりお一人お一人異なります。詳しくはお問い合わせください。
項目 | 価格(税込) |
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診断用CT撮影 |
22,000円 |
インプラント埋入(1本) |
前歯 495,000円 |
GBR(骨造成) |
165,000円〜 |
ソケットリフト |
165,000〜275,000円 |
サイナスリフト |
275,000円 |
歯肉移植 |
99,000〜165,000円 |
静脈内鎮静法 |
66,000円 |
治療に伴うリスク
インプラント周囲炎の可能性があるため定期的メンテナンスが必要です。